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「ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」 「おいおい、あんまり召喚が出来ないもんだから、そこらへんの平民を雇ったんじゃないのか?」 失敗に次ぐ失敗を繰り返すこと24回。 ルイズの召喚魔法で現われたのは、ほっそりした黒髪の美人だった。 「ミスタ・コルベール! やりなおしをさせて下さい!」 あまりの事にやりなおしを要求するルイズだったが、コルベール先生はにべもない。 春の使い魔召喚は神聖な儀式だ、やり直しは認められないの一点張り。 「でもっ、平民が使い魔だなんて聞いたことありません!」 「実は私、平民じゃなくて貴族なんです」 「ええっ!?」 「なんですと!?」 召喚された使い魔の突然の発言に驚くルイズとコルベール先生。 貴族を召喚したとなると、場合によっては国際問題にもなりうる大変な事件だ。 「ほ、本当に貴族なのですか?」 「ええ、嘘です」 困惑しながら聞いたコルベール先生に、しれっとした顔で答える女性。 「本当は私、エルフなんです」 「ええええええ、エルフー!?」 ズサッと音をたてて女性から離れるルイズ。 他の生徒も一様に数歩後ろに下がっている。それほどにエルフは恐れられているのだ。 「どどどどどうせまた嘘なんでしょう? だって耳が長くないじゃない!」 「私の父はエルフだったんですが、人間だった母と恋に落ちて、私が生まれたんです。 でも、二人の仲を認めない周囲の人達によって二人は……そして私もあわや……」 「そんな事があったのですか……おかわいそうに、ミス、えーっと……」 「ひとみです」 「ミス・ヒトミ。それでは本当に、あなたはエルフの血を引いているのですね?」 悲痛な表情で同情したようにコルベール先生が言う。 彼は基本的に平民にも分け隔てなく優しい人物だ。 もちろん、ひとみと名乗った女性が美人だからというのも無関係では無いが。 「ええ、もちろん嘘です」 「なんですかそれはーっ!!」 ガクっとこけるコルベール先生。 周囲の生徒達も一気に脱力してしまう。 その中からいち早く立ち直ったのはルイズだった。 「ミスタ・コルベール! やっぱりこんな嘘つきの使い魔なんて嫌です!! やり直しをさせて下さい!」 「ダメですよミス・ヴァリエール。きちんと契約しないと、進級できませんからね?」 「ううううう……仕方ないわ。こうなったらさっさと契約よ」 「契約……さては私にインチキな商品を売りつけて身包みをはがそうという魂胆ですね?」 「そーゆー契約じゃないわよ!」 「そうですか、安心しました。ではこの契約書にサインをお願いしますね」 「えーっと、ここで良いのかしら……って、ちがーう! 貴方が私と契約するんじゃなくて、私が貴方と契約するのよっ!!」 「まぁまぁ、べつにどっちでも良いじゃないですか」 「良くないわよ! 大体何よこの契約書は! 『私は貴方に全財産を譲渡します』? こんな契約するワケないでしょう!」 「ちっ」 「アンタ今『ちっ』て言ったぁ!!」 「しかたありません。お詫びに貴方と契約をしましょう」 「は、はじめっからそうすれば良いのよ」 「そのかわり、私の身の回りの世話と秘薬の原料を探してくる仕事、それと私の護衛は貴方がやって下さいね」 「逆でしょうがソレっ! って言うかなんでそんなに詳しいのよ!」 「ゼロの使い魔は全巻読んでますから」 「ナニよソレ?」 「もちろん嘘です。これなんてエロゲな小説なんか全然読んでません。 12巻なんか覗きとか百合とか大変な事になってるじゃないですか」 「キッチリ読んでるじゃないのーっ!!」 「タバサの冒険の2巻は今月発売なんですよね? この近くにライトノベルが置いてる本屋さんってありますか?」 「知るかーっ!」 「でもラノベって店員さんにオタクの人が居ないとレーベルの絞りが甘かったり、在庫の揃いが悪くて大変なんですよシャナさん?」 「そーゆーこと言うの禁止! 二重の意味で禁止よっ!」 「うるさい! うるさい! って言ってください。メロンパンあげますから」 「要らないから黙れ!」 「24のひとみ実写ドラマも10月放映なのでお見逃し無く」 「ますます知るかーっ!!」 凄い勢いでボケるひとみと突っ込むルイズ。 「い…いいかげんに……ゼイ……ハァ……そのしょうも……ない発言を、やめ……ハア」 「あら、それじゃあ私は必要ないって事ですよね? では失礼しますねー」 「え!? あ、ちょっと! ハァ、ハァ、ってゆーか、ゼイ、しょうもない発言が、ハァアンタの存在意義なの……?」 ついに息切れしたルイズがゼーハーと息を整え、周囲の誰もがポカーンと呆れているうちに、スタコラと逃げ出してしまった。 既に息が切れて追いかける体力も無いルイズ。 この後当然、クラスメイトから「召喚した使い魔に逃げられた」と馬鹿にされてしまうのだった。 こうしてルイズの春の使い魔召喚儀式は失敗。 失意に崩れ落ちそうな少女は、追い討ちのように学院長室へ呼び出しを受けてしまう。 「ああ、きっと留年を通告されるんだわ……お父さまやお母様やお姉さまになんて言おう……」 思い足取りで階段を登り、いっそこのまま何処か知らない国に出奔してしまった方が楽かと思い悩みながら、 ルイズは学院長室の立派で大きなドアをノックした。 「どうぞ、入って下さい」 中から女性の声が聞こえる。 しかし、それは秘書のミス・ロングビルの声ではなかった。 ついにセクハラに耐えかねて新しい秘書に代わったかと思いながらドアノブに手をかける。 「鍵はかかってますから。あと開けると爆発するトラップが」 「そんなワケあるかー! 見つけたわよ私の嘘つき使い魔!」 蹴破るぐらいの勢いで扉を開け、学院長室へ転がり込むルイズ。 「はい、嘘です」 「なんでこんな所に居るかは聞かないわヒトミ! とにかく私の進級のために契約しなさい!!」 「ダメですよルイズさん。先生をヒトミなんて呼び捨てにしちゃあ」 「誰が先生よ! もうアンタの嘘はお腹一杯なの!」 「いや、ミス・ヴァリエール。それは本当じゃ」 「え?」 ギギギと音がするような動きで首をめぐらせた先に居たのは、学院長のオールド・オスマン。 「ミス・ヒトミは今日から我が学院の教師になった。 それに伴い、ミス・ヴァリエールの進級は特例として認められたので、安心なさい」 優しく言葉をかけてくれる学院長。 しかし、ルイズにとってはもっと気になる部分があった。 「ヒトミ、先生?」 「はい」 あまりの理不尽な展開に目の前が暗くなる。 どうせオールド・オスマンは美人だからとかそんな理由で教師にしてしまったに違いない。 トリステイン魔法学院オワタ。 そう思いながら、ルイズの意識は暗転していった。 「ってお話が冒頭から全部嘘なんですけどね」 そんな声を遠くに聞きながら。 終わり 週間少年チャンピオン連載の「24のひとみ」から 嘘つき美人教師ひとみ先生召喚でした。
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前ページ次ページつかわれるもの 第01話 呼び出されたもの ここトリステイン魔法学院では、現在二年生の「春の使い魔召喚の儀式」の真っ最中だ。 午後から始まったこの儀式だが、生徒達は順調に召喚に成功して行き、一人の女生徒を残すのみ。 しかしその女生徒が召喚の魔法を唱えても……聞こえてくるのは儀式を終えた生徒や使い魔の叫び声と―――爆発音だけであった。 その女生徒――ルイズはこれで16度目となる爆発にも決して諦めようともせず、ゆっくりと深呼吸を行って精神を集中させていた。 (今度こそ大丈夫だ、落ち着こう……) 周りから聞こえて来る罵声と悲鳴、教師がまた明日行えば……と言ってくるが、ルイズはもう一度だけやらせて下さい!と半ば強引に押し切った。 (今まで沢山練習したんだ、落ち着いてやれば成功するわよッ……) そして再び杖を掲げ、声を張り上げた。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 ――再び巻き起こる轟音を伴った大爆発、今までで最大の規模だ。 太った一人の生徒が巻き込まれ、焼き過ぎて焦げてしまった豚のように真っ黒になってしまった。 ルイズはついに地面に崩れ落ちた。 今までの努力は、勉強は、練習は、無駄だったのだろうか。 所詮「ゼロ」のルイズには召喚なんか無理だったのだろうか。 そう考えると涙が出そうになった……が、周りの叫び声で我に返った。 「お、おい!何か動いてるぞ!」 「あのルイズが成功したのか!?」 「マリコルヌ!傷は深いぞ!しっかりしろ!!!」 何かが、居る? 勢い良く顔を上げ、土煙の中を確認すべく目を凝らす。 そこには確かに何か動くものが存在し、ルイズは期待に胸を膨らませた。 (ドラゴン?グリフォン?この際だったら鷲とか、梟とか、何でも良いわ!) そして段々と土煙が晴れて行き、そこに居たのは…… 「あ、亜人!?」 獣の耳と尾を持つ女性と、鷲の翼のような耳を持つ女性の二人だった。 カルラが目を開いた時、目の前は土煙で覆われていた。 そして辺りからは罵声や悲鳴、そして驚愕の声が聞こえて来る。 落ち着いて周囲を見回すと、隣にトウカが倒れているのが見えた。 「トウカー、死んでませんわよねー?」 ゆっさゆっさとトウカの身体を揺する。 呼吸はしているようだから死んではいないだろう。 片手で顔を抑えながら、トウカはゆっくりと上体を起こした。 「んー……ここは?」 「良く判りませんけど、生きてはいるみたいですわねー」 「先程居た戦場では無いみたいだな……」 「どうやら"あの鏡"で何処かに飛ばされた、と考えるのが妥当ですわね……」 結論から言えば、カルラの読みは正しかった。 土煙が晴れて目にしたのは、珍妙な衣装に身を包んだ子供達であった。 それを見守っていた教師――二つ名「炎蛇」のコルベールは、目の前で起こった事態に困り果てていた。 何しろ亜人が召喚された、というだけで相当の異常事態であると言うのに、あまつさえそれが二人も居るのだ。困るのも当然と言えば当然なのだが。 試しに彼女達に『ディテクト・マジック』を使ってみたのが、結果として両方から魔力反応があった。 やはり先住魔法が使える、と考えるべきなのだろう。いきなり暴れ出そうものなら手が付けられない事は明白だ。 そして、コルベールを悩ませる理由は彼女達の存在だけでは無かった。 「ミスタ・コルベール……私はどうすれば良いのでしょうか……」 そう、彼女達を召喚したのが――ルイズだと言う事だ。 コルベール自身、彼女の努力は良く判っているつもりでいた。 そしてルイズに才能が無いのでは無く、まだ開花していないだけだ、と考えていた。 ルイズが今日の儀式の為に、毎日毎日努力をしていた事を知っていた。 だからこそ、この機会に召喚できずに退学、という事態だけは絶対に避けて欲しかった。 もしこれを認めなかったら、次に召喚する時に成功する保証は……無い。 コルベールは考える。 召喚される使い魔は、主にとって最も必要とされる存在だ。 恐らく何らかの理由で、彼女達は呼ばれたのだろう。 今更何をした所で、杖はもう振られたのだ。ならばこの流れに全てを任せよう。 もしこの女性達が暴れ出そうものなら、自身が全力で止めてみせる。生徒達を守ってみせる。 コルベールは意を決して、ルイズに声を掛けた。 「前例には無いが……例外は認めらない。春の使い魔召喚の儀式はあらゆるルールに優先する」 「彼女達のどちらか片方と、『コントラクト・サーヴァント』を」 前ページ次ページつかわれるもの
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ルイズたちが教室に入ると、廊下まで聞こえていた賑やかさが消えうせ、牽制するかのような視線が向けられた。 そんな態度をとる理由、そして視線の向けられているであろう人物にルイズは検討がついていた。 十中八九間違いなく、シャオがその原因だ。 おそらく、昨日の儀式の終わった直後から噂になったのだろう。 ゼロのルイズが月の精霊を召喚したことが。 精霊と言えば水の精霊のように人間とは違う価値観でこの世に存在にして、あの恐るべきエルフたちの使う先住魔法の源。 そんなただでさえ畏怖すべき存在な上に、彼女は月という魔法にかかわりの深いものの精霊なのだ。 あとはまぁ、かわいい女の子がいたからつい見てしまった。というのもあるんだろう。 現に薔薇を持った少年がその彼女にわき腹をつつかれている姿もあった。 そんな教室に、一人の女性が入ってきた。ミス・シュヴルーズだ。 彼女は教室を見回すと-シャオの辺りで一瞬視線が止まったことは言うまでも無い-満足そうに微笑んで言った。 「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。特にミス・ヴァリエールは月の精霊を召喚したとか。 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」 そう言うと、そのまま授業に入った。 授業自体はほぼ問題なく進んでいた。錬金にルイズが指名されるまでは。 「では、この錬金をミス・ヴァリエールにやってもらいましょう」 その一言で教室の空気が緊迫したものに変わった。 「ミ、ミス・シュヴルーズ、彼女にやらせるのは止めたほうがいいと思います」 キュルケが困り顔で進言する。 「どうしてです?」 「危険だからです」 なにも知らないシュヴルーズにキッパリと言い放つ。教室のルイズとシャオ以外の生徒がそれに同意し頷く。 「危険?どうしてですか?たしかに彼女に授業を教えるのは初めてですが、彼女が努力家であることは聞いています。 さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい」 そう言いルイズに催促をした。 「あなた、危ないから机の下に隠れていたほうがいいわよ」 ルイズの後ろの席に座っていた生徒がシャオに避難をすすめる。 「? どうしてですか?」 「いいから。悪いことは言わない。ルイズが杖を振る前に隠れておきなさい」 そう言うと机の下に隠れてしまった。 「さぁ、錬金したい金属を強く思い浮かべ、杖を振るうのです」 そしてそのセリフの直後、教室に爆音が鳴り響いた。 その爆発に驚き、使い魔たちがパニックを起こして教室で暴れ始める。 「襲撃!?みんな、ご主人様をお守りして!!」 勘違いをしたシャオがそう叫ぶと支天輪を前にかざし、彼女は自身に仕える星神と呼ばれる中国星座の精霊たちを召喚する! 次々と現れる小人や鳥にペンギンもどきや鹿etc。 このとき、右手のルーンが輝いていたのだが、それに気づいた者は誰もいなかった。 なぜならパニックになる使い魔とそれを治めようとする生徒、そしてルイズを守ろうと翻弄するシャオたちのせいで、教室は阿鼻叫喚の坩堝となっていたからだ。 ルイズはそんな現実から逃避するために、シュヴルーズのように気絶した振りをするしかなかった。 「はぁ・・・」 小人達の手で修繕されていく教室の中でルイズは大きなため息をついた。 「ごめんなさい。私が早とちりをしてしまったばっかり・・・」 シャオが実に申し訳なさそうにルイズに謝った。 そんなシャオに、ルイズは慌ててフォローを入れる。 「べ、別にあなたは何にも悪くないのよ。使い魔としての役目を果たそうとしてただけなんだから」 ルイズたちには教師からこっぴどく説教を喰らった後、罰として教室の修繕を命じられていた。 もっとも、教室の修繕はシャオの呼び出した建物の建設・解体を担当する48人の小人からなる星神『羽林軍』がさっきからやっており、ほとんど終わっている。 「なんだかね、とっても情けないなぁって思っちゃっただけよ」 ルイズは少し寂しそうに呟き、心情をシャオに漏らす。 「わたしね、さっきみたいに他の連中と違って魔法が上手く使えないの。 もちろん努力は沢山したけど、いつも同じ結果だから『ゼロのルイズ』なんて呼ばれてる。 せめて人並みに魔法が使えるようになりたいんだけどね・・・」 そんな今にも泣き出しそうなオーラを出すルイズを、シャオは優しく包み込むようにそっと抱きしめる。 「私には、魔法を使えるようにしてあげることはできません。だけど、いつかそうなれるように応援することはできます。 私は諦めずに応援し続けます。だから、あなたも諦めないでください。夢を現実にすることを」 ルイズは抱きしめられる中で、彼女の雰囲気が自分の好きなほうの姉に似ていることに気づくのであった。
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ルイズはある城の地下深くにいた。ルイズの目の前には一人のメイジが玉座に坐っている。 悪魔のような恐ろしいあ人のメイジが・・・ 「よく来たルイズよ。わしが王の中の王、竜王だ。わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを・・・。もしわしの味方になれば世界の半分をルイズにやろう。どうじゃ?わしの味方になるか?」 「あ、あの、なんで私はこんな所にいるんでしょうか?」 「何をいまさら。そなたはわしを退治しにこの城までやって来たのではなかろうか」 「あ、あなたのようなメイジを退治なんてとんでもないです!ぜひとも味方にさせてください!でも、ゼロの私に世界の半分なんて荷が重すぎます!」 「ほう、世界の半分は入らぬと申すか。まあ、そなたが望むのならそれもよかろう。ルイズよ。お前の旅は終わった。さあゆっくり休むがよい!わあっはっはっはっ・・・・・」 ルイズの視界は真っ暗になってしまう。数時間後、先ほどのメイジと同じ声がルイズの耳に響いた。 「ルイズ。起きるのだ。ルイズ」 ルイズははっと、夢から目覚めた。そして目の前には先ほどの夢の住人の姿があった。 「ひっ!夢の人!?せっ、世界の半分なんてとんでもないです!」 「何を言っておるのだ?わしはそなたに召喚された使い魔ではないのか?」 -すっかり忘れてた。昨日召喚したんだっけ。確か昨日夜に散歩に行ってたんだっけ。 「た、確かに召喚したわね。ちょうどよかったわ。じゃあ、この服を洗濯しといて頂戴」 「わしが・・・洗濯をか・・・?」 「そうよ!あんたは私の使い魔なんだからそれくらい・・・な、何よ、その目は・・・」 「王のわしにそのようなことをしろというのか・・・!」 竜王の魔獣のような眼光でにらまれたルイズはヒッと足がすくんでしまう。 「愚か者め!思い知るがよい!」 -なんで!?物探しのときは快く引き受けてくれたのに・・・ ルイズと竜王の考え方は違っていた。 物探しの件は、ルイズは使い魔なんだから主人の命令を聞くのは当然と思っていたのに対し、竜王は自分の部下の望みはある程度叶えてやるものだと考えていた。 もちろん部下の衣類の洗濯等は上の者がやるようなことではない。 「な、何よ・・・私はヴァリエール公爵家の人間なのよ・・・あんたみたいのがかなう訳ないじゃない・・・」 口では強がりを言って見せるが、足はガクガクと震え、目からは沢山の涙の粒があふれている。竜王はフッとルイズを嘲笑する。 「何がおかしいのよ!」 「哀れだな、ルイズよ。どうやっても太刀打ちできぬ相手に一生懸命強がりを言って見せる。自分がわしにかなわぬことは自身がよく分かっておるはずじゃ。いくらわしでもこんな間の抜けた相手と戦うのはちと気が引けるのぉ」 「も、もういいわ!洗濯は自分で行ってくる!」 そう言ってルイズは学院を出て広場に向かった。 「あの、ミス、ヴァリエールですよね?」 メイド服に身を包んだ少女が、後ろからルイズに声をかけてきた。 「確かあんたはここのメイドの・・・」 「はい。ここで働かせていただいているシエスタと申します」 「ねえ、シエスタ。あんたも洗濯しに行くんでしょ。私のもやっといてよ」 「そういえば、貴方の召喚した使い魔は人語を解す亜人だとか・・・」 「そうだけど、それがどうしたのよ?」 「誠に申し上げにくいのですが、洗濯なら・・・」 「あー、だめだめ。あいつったらかなり尊大なやつで、とても洗濯なんてさせられるようなやつじゃないのよ。そういうことで、あんたがやっといてよ」 「はあ、分かりました」 亜人の使い魔が来て、洗濯者が少し減ると思っていたがそうでもなかった。しかし、彼女は別に洗濯が嫌いという訳ではなく、気にはしなかった。 ルイズは部屋に戻って、いそいそと着替えを始めた。洗濯をしてくれない者が服を着替えさせてくれるとは到底思えないからだ。 ルイズと竜王は朝食をとるために部屋から出る。 すると、部屋を出たと同時に他のドアも開いた。 中からはルイズと同い年とは思えないほど大きな胸を持った艶やかな褐色色の肌で赤い髪の少女(といえないかもしれない大人っぽい女性)が出てきた。 彼女は竜王の姿を見た途端に顔が引きつってしまった。 「お、おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ。どうしたの、顔が引きつってるわよ」 「隣にいる彼が貴方の使い魔なの?」 「そうたけど、とっても尊大で全然使い魔とは成り立たないのよ」 「やっぱり、使い魔は普通は動物や幻獣だからねー。たとえば私のフレイムとか」 キュルケの部屋からは、真っ赤な巨大なトカゲが出てきた。しかし、何かにおびえるように震えている。 「あ、あら?どうしたの?」 「これってサラマンダーでしょ?」 「そうよ、火トカゲよ、召喚される前は暑い火竜山脈にいたから、風邪でも引いちゃったのかしら」 別にフレイムは風邪を引いたのではない。サラマンダーは竜に近い種族。 竜王の圧倒的な存在感に怖じ気づいている。 「ほう、これがサラマンダーか。古い書物に載っているサラマンダーとは外見が大きく違うようだが、まあ、あれは遠く昔のことだ。長い月日が立てば、生物の姿も変わるかもしれん」 「せ、生物の姿も変わる!?」 キュルケは竜王の言ったことに対し気ったことを、恐る恐る聞いてみた。 「確か書物に描かれていたサラマンダーはトカゲではなく龍の姿であった」 「タツ?タツとはいったい・・・」 「龍というのはだな、角は鹿、頭はワニ、体は大蛇、爪は鷹、掌は虎にており、魔力により空を飛べる生物のことだ。空を飛べる竜、すなわち飛竜と言われることもある。わしの住む世界ではすでに死滅しておるが、この世界にはまだ残っておるのか」 「じゃあ、この子のご先祖様も空を自由に飛び回ってたんだ・・・」 多分それはないと思う。 「それで、あなたのお名前を押し言えてほしいんだけど・・・」 「わしの名か、わしは竜王。王の中の王、竜王だ」 「とても偉大な名前ですね・・・」 キュルケの顔は先ほどにも増して引きつっていた。 「じゃあ私はこれで」 サラマンダーを自慢しに来たキュルケだが、なんだか焦りながら去っていったように見える。実はキュルケもルイズも、リューオーという名前が竜王を表すのだとはうすうす気づいていた。 しかし、認めたくなかった。どちらも誰もが認めるゼロのメイジのルイズに、そんな高等な生物を召喚できるわけがない。 そして、ルイズの方は「自分より使い魔の方が偉いなんてあり得ない」といった感情も持ち合わせていた。さすがにキュルケはそんな使い魔を召喚してしまうルイズをゼロとは呼べなかった。 「サラマンダーが昔は空を飛んでたって本当?」 「実物を見た訳ではないのだが、本にはそう記してあった」 「そっか、じゃあ、これから食事を取りに行きましょ」 「うむ、分かった」 食堂についたルイズと竜王は、料理の並べられた椅子に座った。 「あんたもメイジでよく分かんないけど王様みたいだから、一応きちんとしたものを食べさせてあげるわ」 「ふん、小娘が、生意気な口を聞きおって」 このようなことを言うルイズだが、本当は安物の固いパンなどを与えてしまうと恐ろしい魔法で処刑されることが目に見えていた。 そして、竜王は元いた世界では悪の化身として邪険にされていて、少なくとも人間から食事をもらうなどあり得なかった。 生意気だと思いつつも、その行為に少しだけだが揺れ動いた。 「ほう、これはかなりの美味だ。料理人の腕が食材のよさを活かしておる」 「そ、それはよかったわね」 食事が終われば次は学院での魔法の授業だ。これは竜王にとってかなりの好都合。この世界を我が物にするのは授業を通してこの世界のことを知るのが一番だからだ。
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【マスター】 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔 【令呪】 左手の甲。 ガンダールブのルーンに近似する。 【マスターとしての願い】 魔法の習得。 ただし今のところそれを聖杯に願うつもりはない。 【weapon】 杖 魔術行使のための霊装。 【能力・技能】 虚無の魔術 始祖ブリミルのみが行使したという失われた魔術形態。 地水火風の四属性いずれにも当てはまらないもののうち、人間が行使する魔術の多くをルイズの世界、ハルケギニアではそう呼ぶ。 空間転移、記憶操作、幻術、解呪、固有時加速など多彩な術がある。 しかし現時点のルイズは自らがこの使い手であることは自覚しておらず、術式の一切を行使できない。 僅かに『エクスプロージョン』の片鱗を暴走のように発動させるのみ。 それでも始祖直系の6000年続く魔術師の家系であり、優れた魔術回路を持つ。 特に強い感情によって励起する回路で、何もなくとも1日あればかなり回復するが、怒りや嫉妬などの負の感情を覚えると魔力を一気に生成できる。 【人物背景】 6000年前にハルケギニア式とでも呼べる魔術方式を編み出した魔術師、始祖ブリミルの子孫、ラ・ヴァリエール公爵家の三女として生を受ける。 父母も二人の姉も優秀な魔術師にして堂々たる貴族であり、ルイズも気高い精神と豊富な知識を持つ。 魔術学院において座学や理論においては優秀な成績を示すのだが、実践だけはうまくいかず、なぜかどんな術を行使しても爆発を引き起こしてしまう。 幼少期からそれは続き、魔術のできない「ゼロ」のルイズと蔑まれ、劣等感に苛まれる人生を16年送ってきた。 最後の希望として使い魔召喚の儀に臨んだ瞬間の参戦。 本来の時間軸においては使い魔の召喚に成功し、様々な経験を経て人間的に成長。 後にハルケギニアの多くの魔術師とは扱う術式が根本から異なるために魔術行使ができなかったことが発覚。 国でも有数の魔術師として目覚める。 長年のコンプレックスと貴族としての誇り高さが相まって若干面倒な性格。 特に宿敵のツェルプストー家の人間や、平民(魔法を使えないもの)、大切なものを奪おうとするもの(恋敵など)にはかなりきつく当たるところがある。 とはいえ根本にあるのは名門貴族の娘らしく、「貴族は平民(力のないもの)を守らなければならない」、「守るためには魔術という力が必要である」というノブレス・オブリージュからくるところが大きい、齢16にして立派な貴族である。 【方針】 なのはに師事し、魔術を学ぶ。
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前ページ次ページゼロのアトリエ 「あさー、あさだよー。」 誰かの声がする。誰だっけ? まあいいや、もう少し寝ていよう…そう思って体を丸めようとした瞬間、毛布が剥ぎ取られる。 「お目覚めですね? ご主人様!」 そう言ったヴィオラートの笑顔には、ルイズ自身の言った事は絶対に守らせる!という 凄みがあった。 ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師4~ 「ああ、ヴィオラート…そうね。昨日、召喚したんだっけ…」 ルイズはのそのそと起き出して、ヴィオラートに命じる。 「服。」 ヴィオラートは一瞬怪訝な顔をするが、すぐに納得したのかルイズの服一式を用意する。 「着せて。」 今度はあっさりと、ルイズの着替えを手伝うヴィオラート。 しかし、ルイズはなんとなく居心地悪さを感じ始めていた。 (何なの、この…私をイツクシムような、ヤサシサあふれる視線は…) なんで着替えぐらいでこんな気持ちにならなければならないのか。 (ひょっとして、私をかわいそうな子扱いしてるんじゃないでしょうね!) 苛立ちをおぼえて振り向いたその先には、しかし、 「ん?」 ヴィオラートの、人懐っこい微笑があるだけで。 「な、何よ。さあ、着替え終わったらさっさと行くわ。朝食よ。」 ばつが悪くなったルイズは、正体不明の何かから逃げるように扉を開けた。 「あら。おはよう、ルイズ。」 嫌なやつに会った。ルイズが扉を開けたちょうどその時、同じように扉を開けて燃えるような赤い髪の女の子が姿をあらわしたのだ。 「…おはよう。キュルケ」 義務的に挨拶を返す。 魔法が使えて、あらゆる意味の色気にあふれ、そして何より、おちちが…おちちが大きい。 その存在全てがルイズの感情を逆撫でする、まさに不倶戴天の仇敵であった。 「あなたの使い魔って、それ?」 彼女は小馬鹿にした口調で、ヴィオラートを指差す。 「そうよ。」 「あっはっは! ホントに人間なのね! すごいじゃない! 流石はゼロのルイズ!」 「うるさいわね」 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って一発でね?」 「あっそ」 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよね~。フレイム!」 キュルケがそう呼びかけると、キュルケの部屋からのっそりと、オレンジ色の大きなトカゲが現れた。 「ああっ、サラマンダー! 大丈夫なの?」 ヴィオラートは驚いて、距離をとりつつ秘密バッグの口に手をかける。 「平気よ。あたしが命令しない限り、襲ったりしないから。それより見て、この尻尾。素晴らしいと思わない?」 たしかにすごい。ルイズから見ても素晴らしいと思う。正直羨ましかった。 しかし、まさにそこがルイズの癇に障る。自分が不甲斐ないからキュルケなんかを調子に乗らせる。 「へえ~、こんなのも使い魔になるんだー。触ってもいいかな?」 ヴィオラートがしきりに関心を示しているのも気に入らない。何だというのだ。 キュルケなんか…ツェルプストーなんかに愛想をふりまかなくてもいいのに! 「あなた、お名前は何とおっしゃるの?」 「あたしはヴィオラート。」 「ヴィオラート。いい名前ね。あたしはキュルケ。微熱のキュルケ。」 キュルケはそこで一旦区切ると、ルイズにあてつけるように胸を張り、ルイズに向かって艶かしい視線を送る。 「ささやかに燃える情熱は微熱。でも、世の男性はそれでいちころなのですわ。あなたと違ってね?」 キュルケは視線をヴィオラートの胸に移動させ、その後視線をルイズの胸に固定し、嘲るような笑みを浮かべる。 「じゃ、失礼?」 そのまま、キュルケはさっそうと歩いていく。歩く姿でさえ何だか様になっていた。 「くやしー! 何なのあの女! 自分がサラマンダーを召喚できたからって! ああもう!」 やり場のない憤りを抱えたまま、ルイズはちらりとヴィオラートの胸をチェックする。 (使い魔のくせに、つつつ使い魔のくせに! この学院じゃキュ、キュルケの次に大きいんじゃないの? 腹立つわ!) キュルケが胸山脈なら、ヴィオラートは胸連峰。私はせいぜい河岸段丘、河岸段丘のルイズ。はは。 「ルイズちゃん?」 様子のおかしいルイズを心配したのか、ヴィオラートがひざを屈めてルイズを覗き込む。 ヴィオラートの顔と一緒に胸部もルイズの視界に入ってくることになり、ルイズは理不尽な怒りを覚えることとなる。 「だ、だいたいあんたが!」 「え? あたしが?」 言葉に詰まる。ヴィオラートは何も悪くないのだ。それどころか、今の今まで胸を意識せずにいられたのは、ヴィオラートの気遣いによるところ大であろう。何を責めるというのだ。 自分にとって最高の使い魔であるとルイズ自身がそう思っているのに、何が悪いと言えばいいのだろう。 「…河岸段丘…」 「え?」 思わず口をついて出た言葉は、ヴィオラートに悩みを打ち明けたいという依頼心のあらわれであろうか。 「な、何でもないわ! さっさと行くわよ!」 照れ隠しなのか、廊下をまさにのし歩くルイズの後姿を見つつ、ヴィオラートはルイズの発した言葉の意味を勘案しつづけるのだった。 「…河岸段丘?」 前ページ次ページゼロのアトリエ
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前ページ次ページ雇われた使い魔 大きな爆音と共に現れた奇妙な生物。 その生物を召喚したルイズといわれている少女は目をぱちくりさせていた。 後ろでルイズを煽っていたギャラリー達もルイズと同じような反応をしている。 『サモン・サーヴァント』という召喚の儀式でルイズが呼び出した生物は、 狐と人間が合体したような、なんとも奇妙な動物であった。 「……何これ」 ルイズは、自分が召喚した奇妙な動物におそるおそる近寄る。 爆風によって舞い上がった砂埃が晴れ、今はその謎の動物の容姿が手に取るように分かる。 顔は狐。よく見ると尻尾も生えている。しかし体は人間のような骨格をしている。 おまけに服も着ており、彼の顔にはよくわからないアクセサリーのようなものがついていた。 「おいおい、なんだよアレ? 狐じゃあ……ねえよな?」 「ルイズが召喚したから骨格がおかしくなっちまったんじゃねーの?」 「でも服を着ているしな……」 ギャラリーが騒然となる中、ルイズは自分の使い魔となるその動物をじっと見つめていた。 気絶しているのか、はたまた眠っているのか、その動物は目を閉じたまま動かない。 まさか死んでいるのではないだろうかと、ルイズの頭に嫌な予感が過ぎる。 何回、何十回と失敗をし、やっと召喚できた動物なのだ、死んでしまっていたらたまったものではない。 ルイズは生死の確認をするため、恐る恐る手を伸ばし触れてみた。……暖かい。 どうやら死んでいるということはなさそうだった。 ルイズがほっと胸をなでおろし、ため息をついた瞬間、その動物がムクリと起き上がった。 「うう……」 ルイズはビクッと体を反応させ、思わず後ずさりする。 起き上がった動物は、自分の身に何が起こったのか理解出来てない様子で、辺りをキョロキョロと見回している。 「や、やったわ…… 成功よ! ついに成功した! ついにやりました、ミスタ・コルベール!」 ルイズはあまりの嬉しさにカエルのようにピョンピョンと飛び跳ねた。 召喚したのは、人間のような謎の狐だが、自分の使い魔であることには変わりない。 いや、"人間のような謎の狐"なんてそうそう出会えるものではない。 もしかしたら自分は物凄い才能の持ち主なんじゃないかと思えるほどだ。 「なあ……あれって成功なのか?」 「絶対変だよな……あれ」 あれと言われた動物は、辺りをキョロキョロと見回したり、 自分の頬を抓ったり、自分の顔についてる奇妙なアクセサリをいじったりしていた。 そんな奇妙な動物の様子を興味深そうに見ながら、ミスタ・コルベールと呼ばれた男が呟いた。 「ふむ……これは珍しい。人間のような格好をした狐とは実に興味深い……」 「は、はい! きっと凄い使い魔となるに違いありません!」 すっかり興奮しきった様子でルイズが答える。 そんなルイズに、多少気圧されながらも、コルベールは話を続けた。 「ミス・ヴァリエール、興奮するのは後にして、早く契約をしたまえ。次の授業まで時間がないんだ」 「あ……。す、すみません……」 ルイズは狐人間に近づき、スッと顔を近づける。 「悪いけど、ちょっとの間だけじっとしててね」 「……!?」 狐人間はルイズに顔を掴まれ驚いたような表情をしている。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 すっと杖を狐人間の額に置き、そのまま唇を重ねた。 「終わりました」 ルイズにキスをされた狐人間はしばらく放心しているらしく、ピクリとも動かなくなった。 自分の体が妙に熱くなっているのを感じていたが、そんなものが気にならないくらい意識が飛んでいた。 なぜなら、この狐人間は宇宙空間に漂い、強大な敵に向かって戦闘機を走らせているからだ。無論妄想であるが。 「ふむ……珍しいルーンだな」 コルベールは魂が抜けている狐人間の左手の甲を見ながら呟いた。 「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」 コルベールはきびすを返すと、中に浮いた。 他の生徒達も中に浮き、それぞれ教室に向かって飛んでいく。 「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」 「『レビテーション』がまともに使えないんだからな!」 「使い魔もまともじゃねえしな!はーっはっは!」 いつもなら罵倒を浴びせてくる生徒達を睨み付けるルイズだが、今回は違った。 なぜなら、自分の目の前に最高の使い魔が現れたからだ。 それに比べたら、幼稚な罵倒や、見る目が無いバカの戯言などまったく気にならなかった。 「ねえ、いつまで硬直してるのよ? あんたは私の使い魔なんだから早く私について来なさい」 そういって狐人間が着ていた服を掴もうとした瞬間だった。 「い、い、い、い、いきなり何をするだあーっ!!」 狐人間が思いっきり叫んだ。 思わず台詞をかんでしまったことを恥じる。 しかし、この狐人間にとってもっと恥じるべきことが先ほど発生した。 台詞をかんだことよりも、そっちの方が遥かに重大であった。 「……へ?」 「"へ?"じゃない! キミには恥じらいというものが無いのか!」 「あんた、喋れるの……?」 「……? 何を言ってるんだ、当たり前じゃないか」 狐人間がしゃべった。いや、狐"人間"なのだからしゃべって当たり前なのかもしれない。 しかし、この狐人間が喋るなんて毛ほども想像していなかったルイズは、驚きと同時に深い喜びを感じた。 「す、すごい! すごいわ! ねぇねぇあんた一体何者なの? 人間じゃないんでしょ? でも、狐でもないんでしょ? 一体何なの? どんな生物なの? 名前は何? どこから来たの? 歳はいくつ? 性別は雄……じゃなくて男……どっちでもいいわ!」 凄い勢いで質問攻めしてくるルイズに、狐人間は後頭部に大きな汗を流す。 そして、とりあえずルイズを落ち着かせることにする。 「ちょ、ちょっと待ってくれ。 オレだって質問したいことは山ほどあるんだ。 とりあえず順番にお互いのことを話していくってことでどうだい?」 狐人間の提案に、ルイズはなるほどといった表情で頷いた。 「そうね、それがいいわ。じゃあまず名前から聞くわ。ていうかあんた名前とかあるの?」 狐人間はむっとした表情で答える。 「あるに決まってるじゃないか、失礼な子だな……。オレの名前はフォックス・マクラウドだ。 雇われ遊撃隊、スターフォックスのリーダーを務めている。よろしくな」 フォックスと名乗った男は握手を求め手を差し出す。 「雇われ遊撃隊……? ナニそれ? ……ま、いいわ。フォックスって呼べばいい?」 「ああ、そう呼んでくれると助かるよ。オレの仲間も皆そう呼んでいるからね」 「そう。私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 ルイズが言い終えると、フォックスは頭に?マークを浮かべ、しばし考え込む。 「……それ、キミの名前かい?」 「当たり前でしょ」 「……な、なんだかずいぶんと長い名前だな……えーとルイズ・フランスソース……?」 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!!」 「……? ……そうか、よくわかった! よろしく頼む、ルイズ」 「あんた絶対分かってないでしょ……」 ルイズはあきれ返ったような表情でフォックスを見た。 さっきの最高の使い魔を手に入れたという表情はどこへやら。 ひょっとして自分はとんでもないボンクラを呼び出してしまったのではないかとさえ感じている。 「ところで、先に一つ言っておくことがあるわ」 「……なんだ?」 ルイズはフォックスが差し出している手をはたく。 「な、何をするんだ!」 「あのね、今日から私はあんたのご主人様なの。わかる? 握手するつもりなんだろうけど、ご主人様に軽々しく握手するなんて使い魔としてどうなのって感じでしょ?」 フォックスは自分が何を言われているか理解できてない表情で首を傾げる。 「あー、もう! つまり、あんたは私の部下ってこと! だから私と立場が同じと思っちゃだめなの! わかったら、"ハイッ!"って大きな声で返事をしなさい! これは私の最初の命令よ!」 フォックスは今となっては誰にも通じない通信機に向かって呟いた。 「コイツ何言ってんだ?」 その声はルイズにも聞こえ、ルイズは顔を振るわせながら両手を挙げる。 「あんた私に喧嘩売ってるの!? とにかくあんたは今日から私の使い魔なの! 分かったわね!」 「……言っている意味がさっぱりわからない。スリッピー、この子が言っていることを分析してくれ……」 今やそばにいない仲間に助けを求め、フォックスは頭を抱えた。 しかし、フォックスの苦悩はまだ始まったばかりなのであった。 前ページ次ページ雇われた使い魔
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人々の様々な想いや願いを受けて、その存在が幻想を超えて伝説となった男がいる。 彼の者は人類という枠を超越し、神や悪魔に等しき力を持つという。 日本を、いや世界を代表する究極のメジャーリーガー。 その名はイチロー。 彼は気が付くと、異世界ハルケギニアの地に降り立っていた。 ──イチローの新たな伝説が幕を開ける。 現在までの来訪者数は計 - 人 wikiは有志で勝手に編集しちゃってOKだと思う。 お絵かき掲示板作るなりアップロードとかするなり、なんでも自由にどうぞ。 たまに作者の人が誤字脱字直したり、書き直したりもしているようです。 リンクはフリーでいいんじゃね。 作者の人のトリップは◆6KVcpBNXy.です。 簡単なトリらしく、トリバレしているのでたまに偽者がでるっぽい。 でも何か問題あるまでは別に気にせずやるらしい。 歴代スレ イチローがルイズによって召喚されたようです http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1218706143/ イチローが ルイズに召喚されたようです http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1218734344/ イチローがルイズによって召喚されたようです http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1219328230/ .
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前ページ次ページゼロの使い魔・ブルー編 ルイズは一つの目的と、企みを持っていた。 目的は使い魔と主人の関係を、はっきりと教えつけることである。 そのための企みの一つ。 (無駄に貧相な食事――) 生きるのに必須とも言える食べ物の差で、 単純に立場の差を示す。 更に、わざわざ食堂に連れてきて、 その差をはっきりと自覚させる。 (――完璧ね) ルイズはそう考えていた。 事実、ブルーはあのスープっぽいものと、パンの欠片を見つめている。 「どうしたのブルー?早く食べないと冷めるわよ?」 などと、ちょっと馬鹿にするような口調で話しかけてみたりもする。 が、特に反応はない。と言うか、普通に食べている。 (……あれ?) 予定と違う。 本来なら、少し文句を言ってきたところに、 お情けで鳥の皮でも与えてやろう、位に思っていたのだが。 出来るだけ動揺を前に出さずに、話しかける。 「……ブルー、それで足りるの?」 「無い物は仕方がない」 予想していたものと違う反応が返って来て、 ルイズはちょっと焦りながら、 「いや、食事とか寝床を提供するとは言ったけど、 これはちょっと酷いかな、なんて……あははは」 「クーロンの宿屋は金を取る割には飯は出ないし 床で寝るのとそう変わらないベッドだったな」 「そ、そう……」 クーロンと言うところは知らないが、 これ以上待遇を悪くするのは流石に躊躇われたので、 ルイズは食事で立場の差を教え付けるのは諦めた。 ルイズの企み、失敗。 食事を終えると、ブルーはルイズの後に付いて教室にむかっていた。 教室に入ると、多種多様な生き物が居た。 恐らく、全て使い魔なのだろう。 ブルーはそう考えながら、周りを見回した。 「犬じゃないよ!クーンだよ!」 ……何か聞こえた気がしたが気のせいだろう。 そうこうしているうちに、教師と思わしき女性が、扉を開けて入ってきた。 席に着こうとすると、 「ここはメイジの席。使い魔は座っちゃ駄目」 そうルイズに言われたが、ブルーは無視して座り込む。 ルイズは何も言ってこなかった。 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、 様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」 シュヴルーズと言うらしい教師の声が響く。 そう言うと、辺りを見回し、ルイズとブルーを見てから、続けた。 「……おや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 瞬間、生徒達が笑い出す。 「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 その言葉に対し、ルイズは立ち上がり、澄んだ声で返した。 「ブルーは確かに私が召喚した使い魔よ」 「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』が出来なかったんだろう?」 何が面白いのかは解らないが、教室中の生徒が笑い出す。 が、ルイズはその嘲笑を意にも介せず、返した。 「そう思いたいなら思えばいいわ」 いつもと違う反応に、笑っていた生徒達はお互いに顔を見合わせ、 疑問と驚きを含んだ表情を互いに見せ合う。 「……何があったんだルイズの奴」 「妙なものでも食べたんじゃないか?」 が、何故かそれには 「私は野良犬じゃないわよ!」 と返すルイズ。それを聞いて、 馬鹿にするような様子は抜きで、暖かい笑みを浮かべる生徒達。 「ああ、いつものルイズだ」 「やっぱルイズはこうじゃなくちゃな」 そんなことを言うクラスメイト達に、ルイズは怒りを爆発させた。 「どうゆう意味よっ!」 そんな様子を眺めていたシュヴルーズは、こんな事を呟いていた。 「良いクラスですねぇ……」 そう言いつつも、授業を進めるために杖を振り、 話を止めない生徒達のく口に粘土を押し付ける。 「仲が良いのは良いことですが、授業は静かに受けて下さい」 ……笑っていた生徒達とは対照的に、キュルケはルイズの使い魔をじっと見つめていた。 「それでは、授業を始めますよ」 そう言い、杖を振ると教壇の上にいくつかの石が現れる。 ルイズは姿勢を正し、授業を受ける姿勢になった。 横を見ると、自分の使い魔も似たような姿勢で居るので、何かおかしかった。 「さて、私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。 『土』系統の魔法を、これから一年皆さんに教えることになります。 魔法の四大系統はご存じですね?えー……ミスタ・マリコルヌ」 「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『土』『風』の四つです!」 その言葉を受けて、シュヴルーズは軽く首を縦に振った。 「今は失われた『虚無』を合わせ、全部で五の系統があることは、 その五つの系統の中でも、『土』は重要な位置を占めると私は考えます。 それは私が『土』の系統のメイジだから、と言うわけではありません」 彼女は一度咳払いをし、間を取ってから続ける。 「『土』は万物の組成を司る、重要な系統なのです。 この魔法がなければ、金属の精製は出来ませんし、 石を加工して家を建てることも難しくなるでしょう。 農業などにも利用されており、私達の生活にとって最も重要な系統であると言って、間違いはないと思います。 ……さて!今から皆さんには、土系統の基本である、『錬金』を学んでもらいます。 既に出来る人もいるでしょうが、その人達は再確認の意味を込めて、もう一度学んで下さい」 そう言うと、彼女は杖を振り上げ、短くルーンを唱えた。 すると石ころが光に包まれ、暫くたち光が収まると、 石ころは黄金色に輝く金属になっていた。 それを見て、キュルケが思わず少し大きな声で言う。 「ゴ、ゴールドですか先生」 「ただの真鍮ですよ、金を錬金出来るのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。 私はただの『トライアングル』ですから」 『土』系統については解った――少々誇張が入っていることもだが、 そもそもの基本的なことが全く解らないので、 ブルーは少し悪いと重いながらも隣にいるルイズに聞くことにした。 「ルイズ」 「何よ?」 「『スクウェア』とか『トライアングル』とはなんだ?」 「系統を足せる数の事よ。それでメイジのレベルが決まるの」 「それだけ解れば今は良い。後で詳しく教えてくれ」 「解ったわ」 その後暫く授業が続いている内に、シュヴルーズが発した一言によって空気が変化する。 「では、実際にやってもらいましょうか。……えーと、ミス・ヴァリエール?」 具体的には、緊張が張り詰めた。 生徒達がざわめき始める。 「はい」 「この石ころをあなたの望む金属に変えてみて下さい」 ざわめきはどよめきになり、 キュルケが先生に対し発言をした後でも、収まることはなかった。 「先生」 「なんですか?ミス・ツェルプストー」 「止めた方が良いです」 「どうしてですか?」 「危険です」 キュルケははっきりと、確信を持って言った。 この時だけは全員が黙り込み、その言葉に頷き同意する。 「危険?どうしてですか?」 「ルイズを教えるのは初めてですよね?」 「ええ、ですけど彼女が努力家だと言うことは聞いています。 さぁ、ミス・ヴァリエール、失敗を恐れずにやってご覧なさい」 「解りました」 ルイズには自信があった。 間違いなく優秀な使い魔を召喚したこと。 言うことはあまり聞かないが、彼が優秀であることは間違いはない。 使い魔の召喚、『サモン・サーヴァント』に成功したという事実が、 彼女に自信を与えていた。 自分でも成功するんだと。 だから、この錬金も成功するはずだと、彼女は信じ切っていた。 まぁ、客観的に見ればそれほど論理だった自信ではない。 その召喚でさえ、十回単位の失敗を経てようやく成功したのだから。 「……何だ?」 ブルーは教室の雰囲気が変わったのを感じ取り、疑問に思った。 ルイズが錬金を行うと何かまずいことでも起きるのだろうか? ルイズが席にたち、教壇にむかっていく。 生徒達の悲鳴が聞こえてくる。 それは、ルイズが教壇に近づくほど、大きくなっているようだった。 (何が起こるんだ?) ルイズが教壇の上に立つと、先ほどシュヴルーズがやったように、杖を振り上げる。 そして、ルーンを唱え……危険を察知したブルーが、『盾』の秘術を密かに使い、 ルイズが杖を振り下ろし、石ころが爆ぜた。 予め使われていた『盾』のおかげで、それほどの被害はない……と言いたいところだが、 爆音に驚いた使い魔達がなんか凄いことになっていたし、 『盾』を貫通したがれきや爆風で何人かの生徒が怪我をし、 『盾』が間に合わなかったシュヴルーズは黒こげになって昏倒し、痙攣を起こしていた。 がれきの中から煤だらけになったルイズが起き上がり、 周囲を見回すと、軽く言った。 「ちょっと失敗したわね」 「……そりゃまぁ、いつもに比べればちょっとだけど」 意外と冷静に被害を計っていたキュルケが言った。 前ページ次ページゼロの使い魔・ブルー編
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前ページ次ページとりすていん大王 とりすていん大王 一回目 ドカーーン ドカーーン 今日はトリステイン魔法学院の2年進級の大切な使い魔召喚の日、みんなが思い思いの使い魔を呼び出す中、 この物語の(一応)主人公 ルイズは魔法を爆発させるばかりで成功しません ドカーーン ドカーーン そして何十回目かの失敗の後、ついに!! 「見ろ、煙の向こうに何かいる!!」 「ついに召喚されたのか?」 「あ、あれは・・・」 それはオレンジの体毛に包まれたふよふよと宙に浮かぶ座布団のよーな猫のよーな何かでした 「「「「なんだ?あれ?」」」」 誰もが見た事も無い物体に首をかしげる中、一人だけ目を見開いて驚愕の表情でその召喚された何かを見つめる女の子がいました 名前をタバサといいます 「あ・・・あれは・・・・」 ぷるぷるとその可愛らしい指先を謎の物体に向けて指すタバサちゃん 「え、タバサあれが何か知ってるの?」 お友達のキュルケが驚いた表情でタバサちゃんの次の一言を待ちます そして出てきた言葉はとんでもないものでした。 「あれは、お父さん!!」 「「「「お父さん!?」」」」 その場にいた全ての人が絶叫しました 「ちょ、ちょっと!!何、あの変なのが貴方のお父さんな訳!?」 召喚者のルイズはかなり取り乱しまくりです、そりゃそうです、魔法学院に通う子供の父親と言うことは少なくとも貴族、 しかもタバサちゃんは留学生、つまり、他国の貴族の強制拉致、国際問題です 殆ど涙目、と言うか泣いてます。 そんなルイズの思いを知ってか知らずか、タバサちゃんはまたハッキリといいました 「違う、私のお父さんじゃない」 その言葉に少し安心したのか、勢いを取り戻したルイズがタバサちゃんに喰ってかかりました 「何よ!!紛らわしいじゃない!!じゃあ誰のお父さんだって言うのよ!!」 するとタバサちゃんは冷静にまたとんでも無い事を言ったのです 「モンモランシーの」 「・・・・・・え?」 その瞬間、お父さんと呼ばれていた物体が急に大声を上げて光りだしました 「ぶっるうううわあああああ!!!」 「きゃああ!?」 「な、何と言う覇気だ、こんな覇気は私も経験した事が無い」 そして光が収まったその時、お父さんは引率のミスター○コミズに 「コルベールだ!!」 失礼、ミスターコルベールに 「始めまして、娘がいつもお世話になっております、モンモランシーの父です」 「あ、これはご丁寧に」 「これはつまらないモノですが・・・」 「いえいえ、お気になさらず」 貴族のご挨拶のお土産ランキング第4位、(貴族の友社調べ)ラグドリアン湖饅頭(こし餡12個いり)をコルベール先生に大人の挨拶で手渡してました 「「「ええーーーー?」」」 ここに(モンモランシーの?)お父さんの使い魔生活が始まるのでした。 「いやいやいやいや!!始まらない!!始まったら問題!!」 大慌てで拒否の姿勢を示すルイズ、それもそうです見た目は変な猫?かもしれませんが級友のお父さんを使い魔なんかにしたなんて 実家のお母さんやお父さんに知られた日にゃあ、そりゃあ、もう、ねぇ、ほんと、・・・・・・・・・ご愁傷さまです 「何よ!!そのもう駄目だね見たいな言い方!!第一、あれは本当にモンモランシーの父親なの!?」 ルイズの言う事ももっともです ですが、 「あれを・・・」 タバサちゃんの指差す先には・・・・・・ ビコーーーン、ビコーーン、ビコーーーン・・・と目を点滅させてモンモランシーを見つめるお父さんと、 ミョーーン、ミョーーン、ミョーーン・・・・・・とロール髪を伸ばしたり、縮めたりと反応するモンモランシーが!! 「あれこそ親子の証明」 「あ、ああああ!!頭が!!頭が割れるよーに痛いわ!!」 頭を抱えて本気で悩みこむルイズに影が差します その主はいわずと知れたお父さん 「やぁ、君がルイズちゃんだね」 ふよふと浮きながらシュピっと手を上げてフレンドリー全開なお父さんは 「娘とコルベール先生から話は聞いたよ、使い魔の儀式をしてたそうだね」 ルイズはハッと思い出して謝りだしました 「御免なさい!!きっと何かの間違いだったんです!!モンモランシーのお父さんを呼び出すつもりは無かったんです!! ですからどうかどうか、この今回の件は穏便にお願いします!!特にお母様にはご内密にまだ死ニタクナイッス!!」 ところがお父さんの答えは意外なモノでした 「使い魔は・・・・好きかい?」 「は?」 突然のお父さんの質問にルイズは一瞬固まって、よく考えて、答えました 「は、はい、好きです」 お父さんの表情がいっぺんしてあたりが暗黒に包まれます 「使い魔が好きだというのか!!」 「ひぃ!!は、はい」 そのお父さんのオーラにルイズが脅えます 「そうか・・・・・」 そう呟くとお父さんは今度はふよふよと空に上がっていきます 「え、ええーーー!?」 「ルイズちゃん、実は私は君の使い魔ではない」 「あ、安心したよーな安心できないよーな」 「君は自分の使い魔を探すんだ」 いつの間にか空は晴れ、鐘が鳴り響き、光が差す中で、お父さんはどんどん上昇していきます 「ええ、私の使い魔って!?」 もう何がなんだか解らないルイズは涙声混じりにお父さんに聞きます 「私に聞かれてもなぁーーー」 空の上からお父さんの無責任な声が聞こえてきました 「そんなぁーーーーー」 ルイズの絶叫が空しく空に響くのでした その日の夜、結局使い魔は召喚できませんでしたが、進級に関しては学院長から太鼓判を押してもらったルイズは自分の部屋に帰ります 「・・・散々な一日だったわ・・・」 召喚の儀式の疲れがどっと来たルイズはもう寝ようと部屋の扉を開けると・・・・・・・・・ 「やぁ、遅かったね 君の使い魔が見つかるまで代わりを務めてあげよう」 「なんでいるのよーーーー!?」 ベットの上でごろごろするおとうさんを見て本日、何度目かになるかわからない叫びをあげるルイズなのでした 続くよ 前ページ次ページとりすていん大王